「おかねをかせぐ」「おかねをつかう」は
私の願いに応えてくれるマネー絵本でした
by田中靖浩
「どうやったらお金持ちになれる?」
「なんのために働くの?」
たとえば子どもから訊かれて、「それはね・・・」と答えられる大人は少ないと思います。
それどころか、わが子と「お金や仕事」について話すことをあえて避けている親が多いことでしょう。
そんなことから、以前からずっと、お金や仕事について子どもでも読める本があればいいのに、と思っていました。
そんな私の願いにズバリ応えてくれる本がありました。
それが今回翻訳を担当した幼児向けマネー絵本、「おかねをかせぐ」「おかねをつかう」です。
著者のシンダーズ・マクレオドはカナダ人女性です。
ママである彼女は「世の中に無いなら私が書くわ!」とばかりに自分で書いてしまいました(笑)。
小さな子どもでも読める、うさぎちゃんとママのとっても素敵な物語を。
「幼児向けのマネー絵本」というジャンルは少なくとも日本には存在しませんでした。
新ジャンルを切り開いた彼女は「お金(Money)」をテーマにかわいい「うさぎ絵本4分冊」を書いています。
今回私が翻訳した「おかねをかせぐ(Earn It!)」と「おかねをつかう(Spend It!)」はそのうちの前半2冊。
このあと英語版では「Save It!」「Give It!」と続きます。
絵本作家であり、母であり、またベーシストでもある彼女が奏でる「かせぐ・つかう・ためる・あたえる」のメロディー、それを私も読者と一緒に楽しみたいと思います。
「おかねをかせぐ」「おかねをつかう」の2冊でシンダーズは幼児でもわかるよう、やさしい言葉で、わかりやすい物語を紡いでいます。
それはともすると演出過剰なネット文章を読み慣れた私たちには、「単純すぎるストーリー」に見えてしまうかもしれません。
しかし賢明な読者はすぐに気付くはずです−−その「余白」こそが、この絵本の魅力であると。
読み終えたあとで「親子でお金について語れる」ことがこの本の良さ、また大人が少年少女の頃に思いをはせられる懐の広さもこの本の魅力です。
ちなみに私は「おかねをつかう(Spend It!)」の余韻が好きです。 「何でもほしがるサニー君」はママから「選ぶこと」を学びます。 そう、人生は選ぶことの連続。仕事も、住む家も、そして彼女も。 そして何かを選ぶことは他の選択肢を諦めることを意味します。 果たしてサニーは「選ぶこと=諦めること」の喜びと哀しみを噛みしめつつ「ダンディーうさぎ」に成長できるのでしょうか? 彼の成長を温かく見守ることにしましょう。
「おかねをかせぐ」「おかねをつかう」の2冊は、子どもが歓声をあげるかわいい本であるだけでなく、余裕のある大人の読者が楽しめる味わい深い本です。
自分のため、家族のため、プレゼントにも最適です。どうぞご愛読ください。
編集後記(by 共訳者H)
海外赴任のタイミングでお声掛けいただいたおかねの絵本の翻訳。わたしにできるの!?という気持ちがありましたが、やってみたい!という気持ちの方が強く挑戦してみることに。翻訳完成までにはいろいろありました。田中先生から「うさぎの気持ちになって訳せ!」と言われ、半べそかいたことも。。。そんな苦労の末に完成した本書は私の大切な分身です。
私の一番のお気に入りは、「おかねをかせぐ!」の最後で、うさぎ兄弟が仲良く抱き合うシーン。オリジナルは”Love”ですが、日本語訳では”ひしっっ”にしてみました。うさぎ兄弟の可愛らしさが伝われば嬉しいです。
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