田中靖浩の経歴やプロフィールなど
生まれついての天の邪鬼、マイナーを愛する反骨精神の固まり。とにかく新しいこと、面白いことが大好き。
大学卒業時、同級生がガン首揃えて就職するのに嫌気が差し、無謀にも無職で卒業。両親を落胆させるも同年秋、会計士試験に合格するという逆転ホームラン。
しかし、またもや合格者がガン首揃えて大手監査法人に就職するのに嫌気が差し、監査法人就職を拒否。専門学校の講師などプータローのような生活ののち、外資系コンサルティング会社に就職。そこでもみんながガリガリ仕事するのに嫌気が差し退職。いよいよ貧乏な自営業の一歩を踏み出し、中小企業のオヤジとして苦労を味わう。
最近では会計という狭い世界に嫌気が差し、「元・公認会計士」を名乗って広い世界に飛び出す。若手落語家などとのコラボによるライブイベントを展開中。
いい年をしていつまで経っても落ち着かない日々、そんな自分にそろそろ嫌気が差す。
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数年前の企業研修のとき、田中先生の話は落語みたいですね、って言われたことがあって。落語なんて知らなかったので意味がわからなかったけど、そのあと山野楽器に行ったとき、落語のCDが目に付いたので何枚か買ってみた。
そのなかで一番面白いと思ったのが立川志の輔さん。車の中で聴いてたんだけど、小学生の娘まで笑っていたのが驚きでね。世代を超えた笑い。これはスゲーって思った。 たまたま事務所近くの三越で志の輔さんの落語会があったので行ってみたわけ。そのライブが、これまた衝撃的だった。その後の人生が変わった。
会場の最後列で聴いていたんだけど、ネタがCDと同じでも、場内の笑うツボがCDとぜんぜん違う。場の空気っていうのかな。こんな張り詰めた空気をたった一人、座布団に座って作れるって、一体この人何なんだ? って驚いたね。
それから初めて聴いた「抜け雀」って古典落語、江戸時代の噺なのに現代の先端に通じるのね。オレ自身がどうやってもうまく表現できなかったブランド、知的所有権とか、与信管理の限界というテーマがそこに表現されていた。
そのころ表現の方向性に行き詰まりを感じていたこともあって、「どうしてもこの落語と一緒に何かやってみたい」と思ったわけ。
さんざん寄席に通って、一緒に仕事してくれそうな落語家さんを探しまくった。もちろんスタッフも総出で(笑)。
みんなに「どうして志の輔さん本人に頼まないんですか?」と聞かれたけど、なんとなく怖くて頼めなかった。軽々しく来るなよ、ってオーラ出てたもん(笑)。
結局、まったくの偶然だけど、志の輔さんの一番弟子、志の吉さんにお願いすることになった。「私、会計士の田中といいますが、一緒に仕事しませんか?」って。彼、ビックリしたと思うよ。きっと彼は税務署が来た、って間違えたんじゃないかな。でもそこからは連載や共演と、ほんとにトントン拍子だったね。
2007年4月22日
新宿・紀伊國屋ホール
「おカネの知恵を楽しく学ぶ日曜日」
with 立川志の吉&神田京子
「奇をてらっていない」ってことに尽きると思う。
たとえば一見するとビジネス上の最先端に見えることでも、突き詰めると「商売って何か」「儲けるってどういうことか」という古典的テーマに行き着く。さらに突き詰めていくと、商売も経営も遊びも何もかも、楽しいってどういうことか、笑いって何だ、人間って何だ、という点に帰ってくる。
会計士の生きるビジネス界と、落語というお笑い界でも、絶対に共通のものってあるはずだ、それを2人で表現できればいいなって。
だから「貸借対照表×火焔太鼓」「ライブドア問題×千両ミカン」「内部統制×藪入り」っていうテーマ設定は、オレの中ではとても真面目かつ自然な成り行きなわけ。 世間にはなかなかわかってもらえないけど(笑)。
志の吉さんとのコラボから始まって、講談師の神田京子さんやオオタスセリさん、そのほか多くの人たちと共演することができた。
もちろんこれからもドンドンやっていきたいと思う。だってメチャクチャ楽しいしさ(笑)。
志の吉さんだけでなく、芸人さんたちと付き合ってみると、やっぱり「師匠−弟子」の関係っていいな、って思う。それに比べるとビジネスマナーなんか嘘くさく見えて仕方がない。
そうしたことを含め、これからも古典芸能の素晴らしさを自分なりに学んでいきたいな。
だからこそこれからも学芸会的な展開だけはしないつもり。テーマ設定だけはしっかりとして、出演者もお客さんも一緒に、笑いの中にも「一緒に考える」部分を創っていきたいと思う。それがプロデューサー田中の目標。
2007年5月15日
東京建物八重洲ホール
「夢」 with 立川志の吉&オオタスセリ
ルーレット必勝法から人生を語る
いきなりそっちかよ(笑)。
そうだね、ギャンブルからは、負けの消化の仕方を学ぶって感じかな。
割り切りとかあきらめみたいなもの、つまり「うまくいかないことを受け入れる力」。
いくら頑張ってもダメなときはダメ。世の中のたいていのことはうまくいかない。
だから真剣にギャンブルして負けて苦しんで、人生の不幸に備えておいたほうがいいんだって。負けを消化できる人間だけが勝ちを喜ぶことができる。
もちろん負けを消化するというのは、いいかげんに勝負をするってことじゃない。 真剣に努力して頑張ることはもちろん大切なんだけど、それと結果がどう出るかは話が別ってこと。
うん。世間の逆をやってみたかった。
普通、肩書って人から与えられるものだから、自分で決められれば面白いかなって。
たぶん自分のことって自分でわからないから、みんな苦しむだろうなって思いながら心の中でほくそ笑んでた。
肩書きに限らず、自分の評価を他人や世間に任せてしまうと「楽(ラク)」ではあるが楽しくない。自分で自分のことを考えるって、大変だけど「楽しい」からさ。
そういう「楽しさ」をこれからもつくっていきたいと思う。もちろんカネを稼ぐ仕事は大事だけど、一見意味のないことも継続してやっていきたいね。
やっぱり無駄って、最高に楽しいからね。