田中靖浩公認会計士事務所

思いつくままweb講義

第2回　「詩人＆講談師」カップル、新婚さんいらっしゃい！

 

対談相手のご紹介

●桑原滝弥さん（桑原）：詩人。三重県四日市市出身。

●神田京子さん（京子）：講談師。岐阜県美濃市出身。

●私・田中靖浩（田中）：会計士。三重県四日市市出身。

３人はかつて「ニノキン祭り−男：二宮金次郎伝」で共演。
また神田京子さんは私の「数字は見るな！」（日本実業出版社刊）にモデルとして登場くれました。

 

田中

３人で集まるのは「ニノキン祭り」以来かな？　京子さんには紀伊國屋ホールで、オレの「プロフィール講談」もやってもらったしね。いろいろお世話になりました。ところで新婚生活はどう？　ちゃんと人間らしい時間に起きてる？　たぶんこの夫婦、時間がメチャクチャだろうな、ってことだけは想像できるんだけど。

京子

ご想像通り！　２人とも出張が多いし、夜も遅いし、生活時間はメチャクチャですけど、でもなんとか健康的に生きてま〜す！

田中

出張が多かったり、生活時間帯がずれてスレ違いの多い夫婦って、意外に仲いいんだよね。うらやましいです、ホント。

桑原

たまに会うといつも夜な夜な愚痴聴いてますよ。ほんと、この人、家では子どもみたいなんですよ。もう甘えて甘えて。

田中

舞台からぜんぜん想像できない、甘えん坊の神田京子（苦笑）。ところで桑原さん、よく一緒に仕事されている谷川俊太郎さんってどんな人？　オレの母校（注：四日市南高校）の校歌作詞者なんだよね。在学中にいちど講演に来てくれた覚えがある。そのとき先生が「谷川さんは命を大事にされて、虫も殺さないそうですが」って振ったら「いや、ゴキブリとかスリッパで叩いて殺しますよ」って。おもいっきりバカ受け。

桑原

まさにそういう人です。いたずら好きで子どもみたいな人。だから電車に乗るときも指定席が取れないんですよ。決められた予定通り行動するのがダメなんですね、75歳にもなって。

田中

それは嬉しいな。キッチリと時間を守って規則正しい詩人って、なんかイヤだ。
ところで、よく志の吉さんからも京子さんからも「自分たち芸人は・・・」って聞くんだけど、落語家と講談師は芸人として、詩人さんも芸人？

京子

そう芸人とくくられることに本人は抵抗あるみたいですよ。詩人に微妙なこだわりがあるようで。でもたしかに芸人の定義ってかなり難しいですね。テレビのお笑いさんも芸人って呼ばれてますけど、すこし違和感ありますもん。やっぱり落語家・講談師は寄席にでているコテコテの「寄席芸人」なんですよ

田中

なるほど。寄席に出るのが芸人か。じゃあ桑原さんはオレと同じ文化人枠？

桑原

それはさらに抵抗感ありますねえ。文化人って、なんでもかんでも一緒くたに放り込まれますからね。結局、「文化人」って個性がないってことじゃないですか。

田中

そうか。オレたち会計士が「先生」っ呼ばれるのと同じか。呼ぶほうは名前を覚えるのめんどくさいから、とりあえず誰でも「先生」って呼ぶんだよ。

桑原

みんなまとめられた「文化人」から抜け出さないとダメだってことですよ。一緒に抜け出しましょう、田中さん。

田中

うん、一緒に脱：文化人を目指して頑張ろう。脱：先生に脱：文化人か。うーん、オレはいったいどこに行くんだろう（笑）。ところでこの前、神田茜さん（注：京子さんの先輩）の舞台を見たんだけど、京子さんのテンポとはまた違う味わいで面白かった。茜さんって子どもいるよね？　女性講談師って、結婚して出産してもみんな仕事続けるの？

京子

それはやっぱり人それぞれですね。でも、こんなに講談師に女性が増えたのも最近のことなんで前例があまりないんですよ。昔は本当に男ばかりの世界だったんです。

田中

えっ？　女性講談師が多いのって最近のことなの？　昔から女性の多い世界だと思ってた。そうなんだあ。でも舞台のキリッとした京子さん見てると、落語に比べて講談って女性向きだと思うけどね。

京子

いまはたしかに女性が多いですね。廃業したらみんな揃って銀座にクラブでも開けそうな勢いです（笑）。

田中

さてさて、こんど夫婦で新婚記念の面白いイベントやるそうじゃないですか。ちょっと紹介してくれる？

京子

中身は秘密なんであんまり紹介できないですけど、とにかく講談が初めての人にでも楽しんでもらえる内容になってま〜す。だから講談初めての人にも是非来て欲しいですね！

田中

まだまだ世間では講談って、敷居の高いものだと思っている人が多いからねえ。落語ですら怖くて行ったことないって人が多いくらいだから、講談にはもっと難しいイメージもってるのかもね。歌舞伎や狂言でも「言葉が難しい」って敬遠している人多いし。

桑原

言葉の一言一句がわからなくても、大した問題じゃないんですよね。その場の空気、雰囲気を体感してもらって、楽しんでもらえればそれが一番じゃないですか。

田中

最近はテレビのお笑いでもテロップで思いっきり言葉を強調するようになった影響なのか、言葉がわからないことに関する不安が大きいのかもしれないなあ。しかしあのテロップ、最悪だよね。大嫌い。空気感ぶちこわし。あんなの見てると、やっぱり舞台はライブがいいな、と思うよ。

京子

今回の結婚記念イベント「ケッコン（仮）面」は、初心者でもちゃんと楽しめるようにしますので大丈夫ですよ。

田中

何が起こるのか、本当に楽しみだ。東京だけじゃなくて名古屋・大阪でもやるんだってね。全国ツアーだね。どうぞがんばってください！

桑原

宣伝してもらってありがとうございます！

田中

・・・・・ところでさ、その大きな荷物なに？

桑原

この店に来る途中、コピー用紙の安い店があったんで一ケース衝動買いしちゃったんです。もう重くて重くて・・・。あまりに重いんでタクシー乗ろうとしたんですけど、安いコピー紙を買ってタクシー乗ったら足が出るなって。だから担いで帰ります。それではさようなら〜。

 

夫婦は、段ボール１ケースのコピー紙を抱えて帰っていった。
そう、夫婦とは重い荷物を背負いて、長い道のりを一緒に歩むがごとき。
このおもろい夫婦に幸あれ！　＜完＞